山口市の本格派フランス料理 Tukino Hikari(月の光)。

山口市商店街の通りにありますフランス料理Tukino Hikari(月の光)へ取材に行ってまいりました。こちらは2021年の10月で4周年を迎えるフレンチのお店で、実は私が来店するのは3度目です。

フランス料理は個人的に敷居が高いというか、ファミレスや居酒屋と比べると特に入りにくいイメージがありましたけど、月の光さんはそこまでカチッとしたジャケット着用のフレンチではなく、どちらかと言うと気軽に立ち寄れるお店だと思います。なので興味はあるけどまだ来店したことのない方へ、ぜひ見ていただけると嬉しいです。

三角形の屋根が特徴の外観。

Tukino Hikariの入口

月の光は山口商店街通りに面した場所、三角形の建物が目印です。山口駅からだと徒歩で10分かからないくらい。ただ山口市内は車移動の方がほとんどでしょうから、駐車場はないので米屋町の有料パーキングのどこかに停めていただきます。

料金だけを見るとカジュアルフレンチに感じますけど、実際はランチとディナー共にコース料理のみという本格派のフランス料理。旬の食材を使用し季節によって提供する料理が変わります。

Tukino Hikariの雰囲気

フランス料理は料理だけでなく店内の雰囲気も込みで楽しむものなので、天井も高く全体的にゆったりとした広さとなっています。ランチとディナーで用意する席が変わるようになっています。

ランチは入口付近の天井が高く自然光が入るお席、ディナーは奥のやや抑え目の明るさでムードのあるお席が使われています。シェフがセレクトした花や木々も良い雰囲気を演出しています。

オーナーシェフの藤岡さん。

Tukino Hikariオーナーシェフ

今回お世話になる月の光オーナーシェフの藤岡さんです。福岡県の中村調理師専門学校を卒業後、都内のレストランに4年勤める。その後はレストランひらまつ、ホテルニューオータニ博多、ブラッスリーポールボキューズ博多の料理長を経て2017年にTukino Hikari(月の光)をオープンしました。

突然連絡してすみません、今日は宜しくお願いいたします。

宜しくお願いいたします。

経歴をお聞きした限り、ずっと料理の世界にはいたんですね。

そうですね、別の業種のアルバイト経験はありますけど、就職は料理の世界ですね。ずっとフランス料理店かホテルの厨房にいました。

店名のTukino Hikariの由来を教えてください。

高校までは山口にいたんですけど、そこから東京や福岡と都心部に住んでいたので、月明かりを感じずに生活してたんです。山口に帰って来た時に自分の影ができるくらいの月明かりに照らされた時に、その温かい光のイメージがいいなと感じたんです。

私も色んな料理人の方とお話ししたりお仕事させていただきましたけど、フレンチの料理人の方は本当に稀というか記憶にないくらいです。なので料理やマナーなどについても詳しく聞いてみたいと思います。

ソースのベース「フォンドボー」

Tukino Hikariのフォンドボー

フォンドボーはフランス料理のソースのベースであり、仔牛の骨や筋から出汁を取ったものです。和食で言うところの「一番出汁」。実はこのフォンドボーはペーストタイプだったり固形タイプだったり、市販で完成したものを買うこともできます。しかし月の光では創業時からずっと変わらず手作りでやっているそうです。

フォンドボーは味のベースになるので、ここを既製品にしてしまうと自分のイメージした味にはなりません。なのでオープン以来ずっと一から手を抜かずに作り続けてます。

フォンドボー作りは肉を焼いて、出汁を煮詰めて、別のものと合わせてとけっこうな手間なので既製品を使ってる人も少なくないとか。このあたりを見るだけで家庭では再現できないなと思います。

Tukino Hikariのフォンドボー

このようにゲンコツと言う仔牛の骨が入ってます。何気なく入った骨も入れる前に1時間以上焼いているので、素材1つ1つに仕事をしているのが分かります。この骨を基本に香味野菜や香辛料と共に最低でも8時間は煮込むそうです。

やっぱりフォンドボーはお店によって作り方は変わりますか?

変わります。入れる材料の量だったりとか、香味野菜の種類とか、どれくらい炊くかとか、火加減とか、作る過程が長い分そういったことで味が少しずつ変わってくるので、お店によって全然違いますね。

Tukino Hikariのフォンドボー
Tukino Hikariのフォンドボー

よりクリアで不純物が少ない出汁を取るため浮いたアクや脂をすくいます。フランス料理ではエキュメと呼ばれるもので、ソースを煮込むときに必要不可欠なものになります。

ここから煮詰めるので、この寸胴でも作れるのは6リットルくらいになります。

Tukino Hikariのソース

先ほどの出汁を長時間煮詰め、裏ごしするとフォンドボーになります。色を見ればかなり旨味が凝縮されているのが分かります。このフォンドボーをさらに煮詰めたワインと合わせてソースを作ったり、肉料理全般のソースや煮込み料理などに使われますから、フランス料理にはなくてはならない存在。

和食とはまったく違いますね。

そうですね、和食は素材の味を活かす手法ですけど、フランス料理は旨味を凝縮させたり、かけ合わせて作ります。なのでより素材の複雑みが感じられると思います。

工程の一部だと思いますが、月の光で最も重要な部分を見せてもらいました。藤岡さんもおっしゃってましたけど、たしかに作り方を公開したとしても真似できないですね。本当に手が込んでました。

仕入れはどうなってる?

Tukino Hikariの食材

フランス料理って僕たちに馴染みのない食材が多い気がするんですけど、何か特別な仕入れ先があるんですか?

福岡県の業者さんを通じて仕入れるケースが多いですけど、九州全域と山口県の食材を使用してます。魚とかも鹿児島から送ってもらったりとか、付き合いのあるところから良い食材を仕入れてます。

他にもヨーロッパの食材であったり、例えばオマール海老を仕入れる場合は特別な業者さんにお願いしているそうです。フレンチで使用される西洋野菜でルッコラとかロマネスコとか、このあたりはスーパーでも買えるんでしょうかね。いずれにせよ仕入れに関してはあまり深掘りはしませんでした。

月の光で提供している料理。

Tukino Hikariの料理
Tukino Hikariの料理

月の光でお出ししているフレンチの味付けは日本人向けにアレンジメントしているものですか?それとも本場フランスの味をそのまま持って来ているのですか?

日本人に食べやすいように味付けはしてます。けっこうフランス料理は味が濃かったりするので、少し酸味をつけたり野菜を加えたり、さっぱりとくどくないイメージです。コテコテのフレンチという感じではないです。

なるほど、予約はコースのみですか?アラカルトはやってますか?

アラカルトはやってないのでランチもディナーもコースのみとなります。

提供するお料理は季節によってほどんど変わります。夏場だったらコーンを使ったスープが出たり、12月はクリスマス仕様のディナーだったり。あるいは「フォアグラが食べたい」とか「キャビアを使って欲しい」などのリクエストがあればその食材を使用したコースを用意することも可能とのことです。

Tukino Hikariのスープ
Tukino Hikariのスープ

こちらの料理の説明をいただけますか?

冷製のコーンポタージュスープです。上の黒い粒々がトリュフで、小ネギとオリーブオイルをかけてます。下は白トリュフのクリームに鶏のコンソメゼリー、そしてとうもろこしにクルトンを添えてます。

Tukino Hikariのスープ
Tukino Hikariのスープ

上のスープを注いでもらって具材と一緒に食べます。とうもろこしは味がしっかりしてて色々とかけあわせてもブレにくいらしいです。というか普段生活しているとこうした料理を食べる機会はないですよね。

これめっちゃ美味いです。スープのなめらかさに具材の食感が加わって。しかも冷製なので夏場は特にいいですね。

市販のコーンスープって冷めると美味しくないような気がするんですけど、冷たくても美味しく食べれるって凄いです。飲むと言うより食べてる感覚でした。たしかにちょっと特別な日のランチに食べれると嬉しいですね。

コロナ対策はどうなってる?

Tukino Hikariのコロナ対策

現在はコロナ禍ということで、来店の際はお客様への消毒をお願いしている状態です。またお店としてはスタッフの体調管理はもちろん、お席も詰めずに間隔を空けて案内しています。

Tukino Hikariのコロナ対策
Tukino Hikariのコロナ対策

もともと店内も広いですし、天井も高いので、お客様同士の距離はけっこうあると思います。

フランス料理は空間も楽しむものなので店内も広くなっています。パーテーションの区切りが必要ないほどゆったりした店内なので、さほど神経質にならなくてもいいのかなと感じました。

料理のテイクアウトは?

Tukino Hikariのテイクアウト

現在は期間限定でオードブルなどのテイクアウトはやっているそうです。ただあくまでコロナ禍の期間ということもあり、いつまで提供できるかは分からないので、詳細はホームページで確認いただくようお願いいたします。

来店したことがない方へ。

Tukino Hikariオーナーシェフ

最後にまだ月の光に来店したことがない方へ、私が個人的に気になるところをシェフに聞いてみたいと思います。やっぱりファミレスや居酒屋と比較して来店のハードルが高いというか、堅苦しいというか、敷居が高いと感じる方もいるかも知れませんので。

ドレスコードはどうなってますか?

特にドレスコードは設けてないのでジャケット着用などはないです。ただこの空間を楽しみにしている他のお客様もいますから、ジャージにサンダルのようなあまりにもラフな格好はやめて欲しいかなと。だからと言ってスーツにネクタイが必要といった感じではないです。

1人で来店する方はいらっしゃいます?

いらっしゃいますよ、特にランチはお一人で食べに来られる方はそんなに珍しくないです。ディナーをお一人でご予約される方も珍しいですけど、たまにいらっしゃいます。

ご予約する方法としては電話と、メールやインスタグラムからダイレクトメッセージも可能ですか?

メールもDMでも受け付けてはいますけど、1人でやっているのでレスポンスが遅れる可能性はあります。なのでお電話でのご予約が確実かと思います。

フレンチって前菜から始まってデザートまでありますけど、食べ終わるまでにどれくらい時間がかかりますか?

一応ランチだったらだいたい一皿で10分〜15分、料理全て提供し終えると1時間〜1時間半くらいになります。ただ食後ゆっくり談笑されることを考えると、滞在は2時間になることもあります。

Tukino Hikariメニュー

ありがとうございます。最後になるんですけど、まだ月の光に来店したことのない方へ何かメッセージをお願いできますか?

うちはフレンチですけど正直ハードルは高くないです(笑)ソムリエがいるようなレストランではないし、地域の学生アルバイトもいますし、どちらかと言うとフランクというか気張らなくても良い空間だとは思ってます。

初めての方はテーブルマナーや食べ方だったり、そういったものを含めて楽しんでいただきたいと思ってますし、いつも食べてるような日常食ではないので、特別な日とか、畏まった日とかに来ていただければと思います。

以上、お忙しい中で対応いただきありがとうございました。山口県ではフレンチを気軽に食べるという文化がないでしょうから、ぜひ今後も活躍していただきたいと思います。

店名TukinoHikari(月の光)
住所山口県山口市米屋町2-2
営業時間ランチ
11:30〜15:00 (LO13:30)

ディナー
17:30〜22:00 (LO19:30)
定休日火曜日、第一水曜日、第三日曜日
※その他不定休あり
TEL083-941-5776
平均予算ランチ 3500円
ディナー 7000円
禁煙・喫煙完全禁煙
ホームページhttps://tukinohikari.com/
※取材日時点での情報です。